IT訴訟(NTT東日本と旭川医科大学の訴訟問題)

NTT東日本旭川医科大学の訴訟問題から学ぶ*1

【支払額14億超】なぜ、発注者が失敗の「全責任」を負わされるのか?【旭川医大事件緊急解説】 | ガチで、システムわからないんだけど……。 | ダイヤモンド・オンライン

【事件の概要】

旭川医科大学は、2008年8月に、電子カルテを中核とする病院情報管理システムの刷新を企画し、NTT東日本に開発を依頼した。 しかし、プロジェクトの開始直後から、現場の医師たちによる追加要件が相次ぎ、プロジェクトが混乱した。 NTT東日本は、1000近くにのぼる追加項目のうち、625項目を受け入れた上で、仕様を凍結(もうこれ以上要件の追加・変更は行なわないことで合意すること)し、納期も延長することになった。 しかし、仕様凍結後も現場医師らの要望は止まず、さらに171項目の追加項目が寄せられた。 NTT東日本は、さらに追加された171件のうちの136件の項目を受け入れたが、開発はさらに遅延し、結局、旭川医大は期日通りにシステムを納品しなかったことを理由に、契約解除を通告した。 これついてNTT東日本は、「プロジェクトの失敗は旭川医大が要件の追加・変更を繰り返したことが原因だ」と損害賠償を求めた。 しかし、旭川医大は、「NTT東日本が納期を守らず、テスト段階での品質も悪かった」と反論し、裁判になった。

札幌高等裁判所の判断】

札幌高等裁判所は、「旭川医大に100%の責任がある」として約14億1500万円の支払いを命じる判決を出した。 実は、この裁判は、一審で「失敗の責任の8割がNTT東日本にある」とされていた。それだけに、この逆転判決に大きな反響が起きている。 旭川医大は2017年9月14日、判決を不服として最高裁に上告した。

ベンダのプロジェクトマネジメント義務*2

追加要件ね、わかりますよ。わかります。後工程にならないとわからないことっていうのがあるんですよ。 追加要件が出てくるプロジェクトって、要件定義を行う体制が貧弱な時に多いです。しかも、貧弱なもんだから、詳細化もできずにぼやっと終わらせようとする。 要件定義だし、要件だけ定義しとけば、外部設計で方式決めればいいじゃん!というのが彼らの言い分です。キライ。

だいたい、こういうプロジェクトは外部設計でも決まらず。実装まで先送りにするんですよ。そうするとそこで発覚して、あーだこーだ言い始める。

そういう、わがまま'sに対して、どう接するのが正しいんでしょうね。 なんでも受けてくるな!とよく叱られけれど、わたしはいまでも「はい、喜んで😊」でやってます。

  • ベテランY「相談は乗りますよ(手は動かしませんよ、の意)。スコープ外だけど。」
  • 中堅エースT「スコープ外です。どうしてもっていうなら…追加見積です。」
  • 自分「はい、喜んで!」

何が言いたいのかもまとまらずに脱線しましたが、ユーザのやりすぎは禁物です。

尚、ユーザの協力義務*3に関しては、地裁・高裁ともに同様の見方となっています。

地裁判旨:本件仕様凍結合意後においては、⼀切の開発要望を出すことができないにもかかわらず、ユーザからは、92項⽬にも及ぶ開発対象外の要望が出されたのであって~これが開発の遅延をもたらした⼀因であることは否定し難い 高裁判旨:ユーザが本件契約及 び本件仕様凍結合意に反して⼤量の追加開発要望を出し、ベンダがこれに対応せざるを得なかったことから、本件システム開発が遅延した。

~おしまい~

*1:https://storialaw.jp/blog/4019

*2:ユーザのシステム開発へのかかわりについても、適切に管理し、システム開発について専門的知識を有しないユーザによって開発作業を阻害する行為がされることのないようユーザに働きかける義務

*3:システムの開発過程において、資料等の提供その他システム開発のために必要な協力をベンダから求められた場合、これに応じて必要な協力を行うべき契約上の義務